プロジェクト担当インタビュー
事業開発部 課長代理
中村 剛
不燃公社の使命と理念を体現する
まちを守るための不燃化プロジェクト
Profile
勤続年数 | 9年 |
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役職 | 事業開発部 課長代理 |
業務内容 | 事業コンサルタントとして全体調整や行政協議に加え、権利者合意形成、分譲マンション、保育所などの建設譲渡業務等 |
保有資格 | 宅地建物取引士、マンション管理士、再開発プランナー |
どんな学生でしたか? | |
大学では、政策科学という視点から都市再生やまちづくりについて学んでいました。夏休みを利用してバイクで全国を巡りました。行っていないのは、山形、青森と沖縄だけです。やっぱり北海道が一番好きですね。学生時代にいろいろなまちに触れたことで、まちづくりへの想いが自然と醸成されていったのかもしれません。 |
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再開発部
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事業開発部
再開発部兼務 -
事業開発部
まちづくり推進部兼務
不燃公社で再開発の仕事がしたい
私の場合、中途入社で前職でも再開発のコンサルタントをやっていました。同業として当社のことは以前から知っていて、再開発の黎明期からずっとパイオニアとして取り組んでいる会社という印象がありました。他のところと比較ということではなく、当社への転職が私の希望でした。その理由は2つあって、再開発を進めていくにあたって、様々なアプローチが可能な点と、もう一つは先に当社に転職した先輩がいて、再開発に携わるのなら不燃公社がいいよと勧められたからです。
多くの再開発の場合、例えば10戸あるマンションをつくったとして3人の地権者の方がいれば、その分の3戸以外の残った7戸を売って事業費を捻出するというのが一般的なスキームになりますが、中には様々な条件や事情で売ることが難しい物件もあります。そういう売買が難しい物件でも、当社であれば、自社物件として買い取り、賃貸で運用するという方法を取ることもできるので、利益の出にくい、大手のデベロッパーがやらないような案件でも事業として取り組み可能なことがあります。前職のときには、再開発の仕事をしながら、もう一歩踏み込めない歯がゆさから、もっと深く関わりたいという思いがありました。
再開発事業を行うには知識や経験が必要になりますが、事業の主体となる地権者の方々だけでは事業をどう進めていいのか分からないというのが現実です。ですから、再開発コンサルタントに求められることは、知識と経験のある人間が、地権者のみなさんの水先案内人としてサポートしていくというような役割です。当社の場合は、コンサルタントの他に、地権者組合の事務局、あとは事業を費用面で支える参加組合員という3つの役割を担うことができるので、総合的に再開発事業を進めていけるのが特徴であり魅力でもあります。ただ単に建物を壊して、新しく建て替えて終わりではなく、そこに住む人々と一緒に、新しいまちをつくっていく面白さを経験できるのではないかという思いから入社を希望しました。
危険な木造密集地域を安心して住める場所へ
現在は、豊島区内の防災街区整備事業を担当しています。再開発の中でも、防災街区整備事業は、火災や震災などに備えて木造密集地域などを耐火・耐震性の高い災害に強い共同マンションなどに建て替えていく社会的意義の大きい事業です。
最初に担当した中延二丁目旧同潤会地区は、関東大震災の復興住宅として建てられた同潤会の戸建木造住宅で、増改築などを繰り返すことによって防災性に大きな問題を抱える木造住宅密集地域になってしまっていました。担当となって、まずは現地を確かめようと見に行った時に、ここは何とかしないといけない場所だというのは、直感的にわかりました。古い建物がギュっと、このエリアだけ密集していて、建物によって空も遮られ自分が今どこを歩いているのかも分からないような感覚に衝撃を受けたのを覚えています。
また、ここだけでなく周辺にも似たようなエリアがあるので、ここがうまくいくことで周りにもいい影響を及ぼすことができるかもしれないと考えたとき、事業に関わることへの気合いが入りました。
一歩踏み込んで仕事をしたその先
前職の経験を活かして、当初は事業コンサルタントとして関わっていましたが、途中から参加組合員として、保留床を取得してマンションを売るいわゆるデベロッパーとしての役回りも担当することになりました。
この地区の再開発は、私たちが関わる前から随分長く検討されていましたが、なかなか進捗しなかったところに、東日本大震災が起こりました。いつ来るか分からない地震に対して地権者のみなさんの不安が高まり、早く進めて欲しいという要望が強くなったのです。それをふまえて、緊急性の高いスケジュールをスピード感を持って調整をしていきました。再開発事業の難しいところは、一方の想いだけで進められる事業ではなく、地権者、行政、事業協力者など様々な立場の方の意見をまとめながら、一歩一歩進めていかなければならないことです。それをこの事業では、5年でやり切ろうという目標が立てられ、そのためには先回りして様々なことを可能な限りオーバーラップさせ、協議、調整を行うことが必要でした。どこかが滞ればそれにあわせて事業全体が止まってしまうので、そのバランスを崩さないように事業を進め続けることに腐心しました。
法律上では、地権者の3分の2以上が同意すれば事業を進めることはできますが、緊急性が高いからといって数を満たせば良いというものではありません。事業の意義を十分にご理解いただけるようきめ細かな対応を心掛け、なるべく多くの地権者の方の合意を得ながらスピード感を持って進めていくという緊張感のある仕事でした。幸いにもこの地区の場合は、最終的に地権者の方々の総意として事業を進めることができ、災害に強いまちとして生まれ変わったのです。この事業で初動期から完成までを見届けることができたこと、またやりたいと思っていた分譲事業にも携われたこと、転職して本当によかったと思いました。
仕事としては、苦しいことの方が多かったことは間違いないです(笑)。ただ、マンション販売にも関わり事業に対する責任も背負ってやったという達成感、やっている時の充実感は非常に大きいものがありました。地権者の方とも長い年月をかけて一緒にやってきたので、信頼していただけるようになったことがうれしいですね。一つ心残りがあるとすれば、組合設立の総会が、第一子が生まれる日と重なり、出席できなかったことです。でも子どもの誕生日にプレゼントをいただいたりすることもあって、毎年その日はこの仕事のことを思い出します。
中延二丁目旧同潤会地区
旧同潤会戸建地区の共同建替事業、不燃化特区
(東中延一・二丁目、中延二・三丁目地区)コア事業。
- 事業地区
- 品川区中延二丁目旧同潤会地区
- 地区面積
- 0.70ha
- 敷地面積
- 5,696㎡
- 所在地
- 東京都品川区中延二丁目3
- 事業期間
- H26年~H31年
- 関係権利者
- 140名
- 物件名
- アトラス品川中延
- 建物延面積
- 16,440㎡
- 規模
- 13階
- 建物用途
- 住宅(195戸)
Gallery
プロジェクトを終えて
木造住宅密集地域は都内に限らず、まだかなりあります。私たちが取り組んでいる防災街区整備事業は、再開発事業のようにボリュームのある建物を作ることができない地区でも課題解決のために採用できる効果的な事業手法です。本事業である、中延二丁目地区の経験から、住民である地権者の手でまちづくりを進めていくためのサポート、エリアマネジメントの重要性を感じています。建てて終わりではなく、これまでの経験とさらなる知恵を活用して、他社にはできないような、次世代へ引き継がれていく不燃公社ならではのまちづくりを提案していきたいと考えています。
※本ページの内容は取材当時のものです。
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